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歯のセルフケアを効果的におこなう方法
~歯を磨く回数、タイミングからお子さまのケア方法まで~

お口の健康状態を守るためには、歯科医院での治療(プロフェッショナルケア)と同じくらい、患者さまがご自宅でおこなう日ごろの歯磨きなどのセルフケアが大切です。しかし、日本ではほぼすべての方が毎日の歯磨きを習慣にしている一方、歯周病の罹患率が高いなどセルフケアの効果があまり出ていないというのが実情です。

上手で効果的な歯のセルフケアの方法とは何なのか。今回は私たちうえの矯正歯科が普段患者さまにレクチャーするセルフケアの実践方法の1部をご紹介します。喫煙習慣がある方、忙しくて中々ケアができない方はもちろん、お子さまのケア方法も併せて解説しておりますので、保護者の方も是非参考にしてみてください。

目次
POINT:1 毎日歯を磨くだけでは正しいセルフケアにはならない?
POINT:2 歯のセルフケアをおこなう際のポイント~大人の患者さまの場合~
POINT:3 歯のセルフケアをおこなう際のポイント~子どもの患者さまの場合~
まとめ

POINT:1
毎日歯を磨くだけでは正しいセルフケアにはならない?

ご自宅でできる歯のセルフケアの基本となるのはもちろん歯磨きです。
厚生労働省が2016年に実施した「歯科疾患実態調査」を見ると、毎日歯を磨いている方々の割合は約95パーセント。さらに80パーセント近い方々が1日2回以上歯を磨いているという調査結果が出ているなど、毎日の歯磨き習慣自体についてはすっかり日本に定着しているようです。

しかし、皆さんが正しい歯磨きの方法を実践しているかと言えば、残念ですが首を横に振らざるをえません。

そのことを示すデータの1つが日本人の歯周病の罹患率です。歯周病とは細菌感染によって歯ぐきや歯を支える骨が溶けてしまう病気で、その予防方法として第一に挙げられるのが定期的な歯石除去と毎日の歯磨きです。ところが先ほど紹介した歯科疾患実態調査によると、日本人の歯周病の罹患率はかなり高いのです。たとえば15-24歳の若年層でも約20パーセント、35-44歳で約40%、そして45歳以降では50パーセント以上。中高年の2人に1人が歯周病を患っており、しかも2016年時点でその割合は年々上昇傾向にあります。歯周病は生活習慣病の1種として、その危険性を広く認知されているのにかかわらずこの数値です。日本人は毎日歯を磨いていながらも、その方法には(少なくとも歯周病予防としては)改善の余地があることが多いようです。

また、世界に視野を広げると、日本のオーラルケアへの意識・ケア用品への投資額は欧米諸国と比べてもかなり低いと言われています。必ずしもケア用品にお金をかければ良いわけではありませんが、毎日歯を磨くことに+αの工夫が必要なことは確かです。その1つとして、歯の正しい磨き方をマスターすることは、もっともリーズナブルな方法だと言えるでしょう。

歯を正しく磨くことは、歯周病予防だけではなくカリエスリスク(虫歯になるリスク)や口臭の緩和にもつながります。
1番良いのは実際に歯科医院でレクチャーを受けることですが、次章では当院で実際におこなっている指導内容を踏まえて、ご自宅で歯のセルフケアをする際のポイントをご紹介して行きましょう。

POINT:2
歯のセルフケアをおこなう際のポイント
~大人の患者さまの場合~

~自己流の歯の磨き方をやめる~

第1章で紹介したように、日本では約95パーセントの方が毎日歯を磨いています。これは大変素晴らしいことですが、見方を変えると、変な癖が付いている自己流の磨き方が日々強化されてしまっている可能性があるということでもあります。
実際当院に来診する患者さまの中にも、無意識に得意な部分だけを磨き続けているため、時間をかけているわりには全体的に磨き残しが多い方がいらっしゃいます。「自分の歯の磨き方は大丈夫だろうか……」と不安な方は、まず一度歯科医院で指導を受けることをおススメします。一体どの部分が磨けていないのか確認した上で、磨き残しのない磨き方を身に付けましょう。

~使う歯ブラシにこだわる~

使う歯ブラシを工夫することも、歯のセルフケアを上手におこなうポイントの1つです。
歯科医院で磨けていない部分がわかったら、その部分を磨くのに適した歯ブラシを選んでもらってください。一口に歯ブラシと言っても、唇側や噛む面を磨きやすいタイプから、歯ぐきと歯の境目が磨きやすいタイプ、歯と歯の間を磨きやすいタイプまで用途によって種類はさまざまです。あなたのお口の事情に合った歯ブラシを使うようにしましょう。

フロスや歯間ブラシを使うという方法もあります。上手に使えばより効果的にプラークを落とすことができます。しかし、使用方法を間違えると、歯肉退縮(歯の周りの組織がすり減り歯根が露出してしまうこと)を起こしてしまうリスクがあります。また、短時間で効果的にプラークを落とすことに定評がある電動歯ブラシについても、歯や歯ぐきを傷つけてしまう可能性があるので注意が必要です。ご興味がある方は、歯科医院で使用上の注意点をレクチャーしてもらいましょう。

~喫煙する方は食事中よく噛む!~

喫煙は続けていると、歯肉の血行が悪くなり歯周病の原因になる可能性があり、お口の健康を守る上でできれば控えてほしい生活習慣です。
また、喫煙をすることで唾液量が減り、唾液の成分もサラサラの漿液性から粘液性のドロドロのものに変わって行きます。実は唾液の量と質はカリエスリスク(虫歯になるリスク)と大いに関わっています。というのも、唾液は歯に付着する汚れを落とすだけではなく、脱灰(歯が溶けること)した歯質の再石灰化を促すからです。つまりタバコを吸えば吸うほど、唾液が減りカリエスになりやすくなるということですね。一方で喫煙習慣があっても唾液の量が多ければカリエスリスクは下がります。唾液は噛むことで分泌が促されます。そのため喫煙者の方は歯の磨き方だけではなく、普段の食事を水やお茶で流し込まず、しっかり噛んで食べるようにして唾液の量を増やしてください。代用甘味料などカリエスリスクが低い糖を使っているガムを噛んでも効果がありますよ。

~歯を磨く回数は1日2回で大丈夫~

歯を磨く回数は1日2回で大丈夫です。朝、昼、夜の食事ごとに3回歯を磨かれる方も大勢いらっしゃいますが、研究によれば2回と3回の間でカリエスリスクに大差がないことがわかっています。また、なかには仕事が忙しくなかなか歯のセルフケアを継続できないという方もいるかと思います。そのような方も1日1回、特に就寝前に歯を磨くようにしましょう。これはカリエスリスクを下げてくれる唾液の分泌量が就寝中にもっとも減るため。人は眠っている時間帯ほど虫歯になりやすいということですね。できれば1日2回は歯を磨いていただきたいですが、それが難しい場合は就寝前に最低1回は歯磨きをするようにしてください。

POINT:3
歯のセルフケアをおこなう際のポイント
~子どもの患者さまの場合~

~お口のケアは乳歯が生えてきてから~

乳歯が生えてきたらお口のケアをスタートしますが、最初から歯ブラシで歯を磨く必要はありません。まずは指にガーゼを巻きつけて歯面をポンポンとなでる感じからはじめてください。さらに、お子さまのお口に歯ブラシを入れるときは、最初に保護者の方が自ら実践して見せると良いでしょう。お子さまは保護者の方のやっていることを何でもすぐ真似しますよね。まずはお子さまに歯磨きに興味を持ってもらうこと。その方がいきなり何をされるかわからない状態でお口に歯ブラシを入れられるよりもスムーズに、お子さまも歯磨きすることを受け入れてくれるかと思います。
また、母乳によるカリエスリスクを危惧する保護者の方もいらっしゃいますが、母乳のカリエスリスクはかなり低いことがわかっていますので、こちらもあまり心配なさらないでください。

~フッ素を配合したケア用品を使う~

フッ素を配合したケア用品を利用することも、お子さまのカリエスリスクを下げる方法の1つです。というのもフッ素には虫歯菌が出す酸を抑制する働きがあるほか、再石灰化(虫歯になりかけた歯が元に戻ること)が期待できるためです。また、フッ素を常用することで、カリエスになりにくい丈夫な歯になります。また、数あるフッ素を配合したケア用品の中でも、歯磨剤がもっとも効果が高いという研究データがあります。

ただしフッ素を配合したケア用品には使用上の注意点がいくつかあります。1つめは歯に取り込まれるまで少々時間がかかること。そのため歯磨きをした後にお口を強くゆすぎすぎると、せっかくのフッ素が洗い流されてしまうことがあります。フッ素入りの歯磨剤を利用した後は、軽く1回お口をゆすぐ程度にとどめましょう。
2つめは小さなお子様が大量に利用すると、フッ化物中毒になる危険性があること。この点もあり、当院では乳歯列期からフッ素を積極的に利用しなくても良いと考えており、永久歯が生え始める6歳くらいの時期からの利用開始をおススメしています。とは言え、フッ素がカリエスリスクを下げることは確かですので、かかりつけの歯科医院と相談してみてください。

~お子さまに無理強いをしない~

うえの矯正歯科ではお子さまが自発的に歯磨きをすることが大切だと考えています。
保護者の方のなかには時々、義務感から無理やりお子さまに歯磨きをさせてしまう方がいらっしゃいます。しかし、そのようにしてしまうと、お子さまが嫌がって動き回ることでちゃんと歯が磨けないことがあるほか、万が一痛みが出ると、歯磨きが嫌いなってしまうこともあります。大事なのはお子さまが自分から歯磨きをしたいという気持ちを育てること、そしてその環境作りです。そのお手伝いを当院ができれば幸いです。

まとめ

ここまで歯のセルフケアを上手におこなう方法を、大人の患者さま、お子さまの患者さまそれぞれのケースに合わせてご紹介してきましたが、これらはあくまで一般論です。皆さんのお口の形が1つ1つ違うように、そのセルフケアの方法も異なります。今回の記事はあくまで参考程度にとどめて、かかりつけの歯科医院と相談を重ねて、あなたに1番合ったセルフケアの方法を探してみてください。うえの矯正歯科では歯を並べるだけでなく、虫歯のない歯並びを目指して日々診療に取り組んでいます。そのためにはご自宅でのケアがとても重要と考え、そのサポートができるよう色々情報を提供しておりますので、一緒に頑張りましょう!