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きれいな歯並びを作るために
~不正咬合にならないために気をつけたいこと~

前回のコラムでは、『不正咬合(不正咬合』の種類や影響、原因についてご紹介しました。今回は、不正咬合にならないために重要な3つのポイントをご紹介します。この3つを気を付けていれば、きれいな歯並びを守っていくことができます。日々の生活に取り入れられる簡単なことばかりですので、ぜひ取り入れてみましょう!

目次
POINT:1 意識して使い分けていきたい「呼吸」
POINT:2 歯並びや健康、美しさにもつながる「咀嚼」
POINT:3 関係ないように思えてとても重要な「姿勢」

POINT:1
意識して使い分けていきたい「呼吸」

皆さんは普段呼吸をする際に、鼻で呼吸していますか? それとも、口呼吸になっているでしょうか? 結論から申し上げますと、身体の健康のためには鼻呼吸を行うのが良いです。鼻呼吸は鼻毛で空気中の汚れを除去し、鼻腔(びくう)で湿度と温度を調整、咽頭(いんとう)でウィルスを除去するので、身体にキレイな空気を取り込むことが可能だからです。

一方、口呼吸では空気がダイレクトに身体に入ってくるため、身体がアレルギー反応を起こしたり、鼻炎が悪化したり、扁桃腺(へんとうせん)などの鼻と喉の境目付近が腫れてしまう可能性があります。口呼吸が鼻炎などを悪化させ、鼻炎が口呼吸をさらに悪化させるという悪循環を起こしてしまうのです。

さらに「口が開く」ということは、上顎の裏側(口蓋)についているはずの舌の位置も下がってきてしまいます。すると、上顎の歯並びを内側から支える力がなくなるため、頬の力で歯列が押されて歯並びが悪くなってしまうのです。身体の健康のためにも、きれいな歯並びを守っていくためにも、鼻呼吸で生活しましょう。

また、呼吸には「腹式呼吸」と「胸式呼吸」の2つがあります。前回のコラムでもお話させていただいたように、胸式呼吸は口呼吸を誘発します。状況に応じてどちらか使い分けることが大事ですが、最近は胸式呼吸しか出来ない子どもも増えています。口呼吸の改善のために、鼻呼吸と腹式呼吸を意識していきましょう。

POINT:2
歯並びや健康、美しさにもつながる「咀嚼」

不正咬合にならないためには食べ物の噛み方、つまり咀嚼も重要です。咀嚼とは、食べ物を噛むことで柔らかく小さくし、飲み込みやすい形にすることです。普段、無意識でおこなっている行動ですが、咀嚼は舌や頬、唇の筋肉使い方、そして歯や顎の動かし方が大きく影響しています。これらがうまく連動して動かないと、上手く顎が成長せずに歯並びが崩れていってしまいます。また、顎の成長は歯並びだけでなく、顔の形や唇などの口元の形にも影響を及ぼすため、審美面での影響も大きいと言えるでしょう。

特に下顎の歯並びは、咀嚼時の下顎運動経路と噛む回数が大きく影響していることが研究で分かっています。しかし、現代人は柔らかい物ばかり食べているので一回の食事での咀嚼回数は約600回と言われています。固い木の実を食べていた縄文・弥生時代のころは約4,000回咀嚼していたと言われているので、現代人は縄文・弥生時代の15パーセントほどしか咀嚼していないということになります。

歯列

上の写真は、現代の日本人と縄文人の下の歯の模型です。見比べてみると、現代人と縄文人とでは、下顎骨の幅(オレンジ色の矢印)は大きく変化しておりませんが、歯軸(歯の角度 赤色の線)が大きく違いがあることがわかります。その結果、下顎の歯列幅は縄文人の方が広くなっているのです。実は、この歯の角度が咀嚼運動路と噛む回数に影響しています。これは、縄文人が硬い木の実などを食べるときによく奥歯ですり潰す「グライディング」という下顎運動を習得してしっかりと咀嚼した結果、歯の角度が立っていき、下顎の歯列幅を広げているのです。

咀嚼には他にもメリットがあります。咀嚼をすると唾液が分泌されます。唾液には自浄作用があり、汚れが溜まって細菌の増殖を抑えることで虫歯などの口腔トラブルを防ぐことができます。さらに唾液は食べ物の消化吸収を助ける酵素が含まれており、よく噛むことによって胃や腸の負担を軽減します。特に最近は腸の活動が注目されており、体の免疫機構や睡眠、ストレスにも影響があると分かってきており、唾液を分泌させるためにも、しっかりとよく噛んで食べることが大切なのです。

また、食事中にお茶や水を飲むのは、食べ物をよく噛まずに流し込むことにつながるため、あまりオススメしません。お水で食べ物を流し込んでしまうと噛む回数は劇的に減少し、唾液の分泌量も減少します。飲み込む時には一定の水分がないと難しいため、唾液が出にくい子は水で流し込まないと飲み込めないのですが、流し込むため唾液が出ず、唾液が出ないから流しこむという負のスパイラルの入ってしまいます。食事は飲み物に頼らず、しっかりと噛んで食べましょう。

POINT:3
関係ないように思えてとても重要な「姿勢」

普段、食事をするときに皆さんはどのような姿勢で食べているでしょうか? 「そんなの意識したことがないからわからないよ!」という方もいらっしゃるかと思いますが、前傾姿勢で食べていたり、逆に背もたれに寄りかかってふんぞり返るような姿勢で食べているのではないかと思います。それでは、見た目だけでなく、消化も悪くなってしまいます。

姿勢

食事中は椅子に座りかかとをしっかりと着けた姿勢か、正座で食べましょう。かかとを着けると上体が安定し、身体の軸をしっかりと保ことができます。試しにかかとをしっかりと床に着けて座った状態で前傾姿勢やふんぞり返りをしてみると、逆に安定しないことがわかるかと思います。かかとを着けることが、正しい姿勢にもつながるのです。

食べ物を口に入れて噛んで、飲み込むという動作は、身体の中では末梢の微細運動に属します。微細運動とは、手や指を使った細かく精密な動作を必要とする動きのことです。反対に、姿勢を保ったり、バランスをとったり、あるいは身体全体を使って歩いたり走ったりする動きを粗大運動といいます。

身体には中枢から末梢、粗大運動から微細運動の順番で発達する原則があるため、上手に咀嚼運動を獲得するには、中枢である体軸をしっかり安定させることが重要になってきます。またその体軸を安定させて姿勢を維持するには、外で十分身体を動かし遊ぶことが大切です。出来るだけ外で遊び、粗大運動を発達させましょう。

その他に、姿勢を安定させるには足指の開き具合や足のアーチも関係しています。サイズが合ってない窮屈な靴を履いていたり、足のバランスが悪かったりするとますます姿勢が悪くなってしまいます。靴の選び方や履き方はまた別のコラムでご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。

まとめ

不正咬合にならないためには「呼吸」「咀嚼」「姿勢」の3つが重要です。どれも歯並びに関係なさそうに思えますが、これらは密接に関わっています。簡単な意識で改善していくことができるので、ちょっと気にかけて生活してみましょう。歯並びは健康に直結しています。健康は歯から。この意識をこれからも持ちましょう。